昭和天皇(1901年~1989年)は、ご幼少の頃から生物を研究することに興味を持たれ、生涯にわたる標本収集、そして、特に変形菌類や植物、ヒドロ虫類についての分類学研究などにより生物学の発展に大きく貢献をされました。
昭和天皇の標本コレクションは総数6万点を超え、その多くが国立科学博物館に移管されています。
昭和天皇のご生誕から120年となったこの記念の年に、生物学者としての昭和天皇のお姿や、そのご研究の内容について、貴重なコレクションを通じて紹介します。
弊社は、この企画展の展示企画・設計・施工をお手伝いさせて頂きました。
会場は展示室自体のクラシカルな雰囲気を生かし、シンプルなデザインながらもレトロモダン調グラフィックデザインとシャープな造作で格式ある空間に設えています。
随所で研究対象の生物写真を大きく展開したフィールドノート風の印象的なグラフィックを設置していくことで、昭和天皇の純粋な一研究者としての親しみやすさも感じられる構成にしています。
一番最初に来場者の目に入る序章部分では、昭和天皇がいかに様々なものをご研究されていたかを感じて頂ける様に、
たくさんの標本が入ったコレクションケースを展開して来場者の興味を引きつけます。
床にフローリング風のフロアシートを敷くことにより、昭和天皇の標本室に入ってきた様な雰囲気を演出します。
全体的に少しトーンを落とした色合いで、落ち着きのある空間に仕上げています。
会場の中心を貫く長い年表。
昭和天皇の「生物学ご研究史」と、研究者としての「姿・目線」を、エピソード、写真、標本と共に紐解いていきます。
展示の核として据えることで、各章との繋がりも比べ見ることが可能です。
*この展覧会は、2021(令和3)年4月20日(火)~6月20日(日)まで国立科学博物館において開催されました。