水と様々な生き物たちが主役となるアクアリウムに、舞台美術やデジタルアートを融合した新感覚の都市型水族館átoa(アトア)が、2021年10月29日にオープンしました。 「átoa」は、デジタル技術を活用した空間を演出しながらも、実空間の装飾と本物の生き物を展示するリアルさへのこだわりを持ち合わせた水族館です。「水」「生き物」「アート」が幻想的に交わる空間が、訪れた人々に癒しと感動を提供しています。
私たちは、主にMIYABIという空間の室内装飾やアート装飾、映像や照明による演出などの設計・工事を担当した他、館内4か所に設置されたATOA CHATTERというリアルアニメーションの演出、機器設計、運営サポートに携わりました。生物への配慮を最優先に考えながら、舞台美術を駆使し、アート作品として洗練された空間づくりに努めました。
非日常の「ありそうでなさそうな世界」を表現しています。 様々なアート要素が随所に散りばめられているこの空間を1つの作品にするため、複数のプロジェクターを用いて日本の春夏秋冬をイメージした映像を投影し、変化するシーンに応じて照明演出がプログラム制御されたプランを設計。光の切り絵とライティングを駆使し、展示水槽をより惹き立たせるインスタレーションを目指しました。 こうした演出で水と生き物を引き立たせ、アートとつなぐことで、華やかさと儚さという相反する要素を包含する空間を実現しました。
室内に水を展示する水族館などは、温湿度が上がりやすい環境を考慮して実施設計を行います。とくに水のリアルさが感じられるような流れる水や水面を活かした展示空間は、装飾に使用する素材にも配慮が必要です。流木や竹などの自然素材には防虫防腐加工を施し、自然のリアルさを感じながらも来場者が安心して鑑賞できる装飾を目指しました。水中で造作物と生き物とが触れる可能性がある場所では、生き物にやさしい素材を使用しております。このように生き物たちの生き生きとした姿を美しく魅せることに重点を置きながら、生き物と水の芸術が交わる空間づくりを目指しました。
切り絵で作成したモチーフと光を組み合わせる「光の切り絵」のアーティスト酒井敦美さんの作品です。
酒井さんの世界観は映像内に留まらず、空間演出においても多くの意見交換をさせていただきました。映像と現実とが混ざり合う幻想的な演出を、ぜひ体験してみてください。
こちらも「光の切り絵」のアーティスト酒井敦美さんの作品です。特殊な出力加工が施されており、内部照明の切り替わりによって異なった絵柄が浮かび上がります。
草花、蝶や鯉など2000個を超える紙の造作物でつくられた、高さ4m✕幅10mのアートスクリーン。アーティスト照喜名隆充さんの作品です。繊細な紙の造作物が織りなす現実世界のアートスクリーンに、創造世界の光の切り絵が重なり合い、より一層幻想的な世界を映し出します。
空間全体がありそうでなさそうな不思議な世界でありながら、日本の伝統的な技術をしっかりと用いて、和の空間を演出しています。
流木と擬岩を組み合わせた大小2本の樹木、亀池、丸太橋、岩山から流れ出る滝。古来から日本の美とされる要素を演出する中で、樹木のみシーンごとに調光された照明をあて、移り行く季節を演出しています。幻想的な空間に華やかさだけでなく、儚さをも感じさせる「侘び寂び」の価値観を残した表現を目指しました。
ゾウガメやワラビーが生活する空間に人(来場者)がお邪魔する空間です。空間内を安全かつ自由に移動できるよう結界などを工夫し、生体に影響がでない空間づくりを目指しました。こちらの空間では、大木4本の施工とグリーンアートを担当。柱の化粧として大量の流木を使用して大木を築き、天井から吊るすハンギンググリーンと共に空間コンセプトである「精霊の森」を表現しました。また、同ゾーンのシンボル水槽「Evergreen」にも流木及び自然植栽を使用し、成長し続けるテラリウムをデザインさせていただきました。
来場者とキャラクターがリアルタイムでコミュニケーションを取れるシステムです。ウィズコロナにおける感染リスクを低減させながらも、展示解説や接客サービスといった顧客満足度の向上が図られることを期待しています。 こちらのリアルアニメーションは4種類のキャラクターの作成、システム構築から運営サポートまでお手伝いしました。