恐竜の強大化をテーマにした幕張で行われたイベントである大型恐竜展。恐竜の中でも最大な体格に進化した竜脚類は、なぜ強大化の道を選んだのか。そのメカニズムを解き明かすために、多数の恐竜をテーマごとに演出を施しながら展示した。
本イベントでは当社も主催者に加わり、入場料収益を目的とした業態にチャレンジ。結果として来場者は約265,000人となり、大成功と言えるイベントとなった。
当社ではこの大型イベントを通じて、広報宣伝活動や企画監修など、請負業務とは異なった目線での業務を経験し、イベントを創り上げる計画と実行、その達成への経緯を知り得ることができた。
また、主催者の各チームによる創意工夫によって、魅力的で集客効果のあるイベントが醸成される様を、存分に体感できた。このスキルは、今後の恐竜イベント構想の大きな糧の一つであると当社では捉えている。
【恐竜担当からの一言】
恐竜は約1億7000万年にわたり地球上に君臨し繁栄を極めた一大生物グループです。人間が恐竜を発見してからおよそ200年、様々な恐竜が発掘され、研究者による研究が行われ、少しずつ恐竜の真の姿が明らかになってきています。しかし、地球上にはまだ発見されていない、まだ地中に眠っている恐竜もたくさんいるはずです。新しい発見により、また全く別の姿になってしまうかもしれません。
私たちは各所博物館の博士などと連携し、最新の学説・研究結果に基づき骨格標本はもちろん、生体復元モデルや、実験機などでわかりやすく解説しています。恐竜の世界へようこそ!
【デザイナー・設計からの一言】
地球で生命が誕生してから40億年。地球史上、最も大きな陸上動物である竜脚類を中心に、「巨大化」という道を選んだ生物たちを多数展示し、進化のメカニズムを解き明かす事がテーマの本展示。
初期の企画段階では、「地球の生物史」を全体的に扱う壮大なテーマを目指し始まった企画。新聞メディア企業と会場運営企業との共同主催に弊社も参画し、主催者としても企画の方向性に関与しながら、企画立案・会場設計・運営までを行っていった。「地球の生物史」という大きなテーマは、やがて「恐竜」をメインに扱ったものとなり、その中でも『巨大化の謎』という興味深いテーマで掘り下げる事が決まった。
テーマ決定後、展示品の選定を進め、大きなストーリーが組まれてきた所で、具体的な展示会会場のレイアウトを検討。「メガ恐竜」というタイトルにふさわしい広いスペースに変化のあるストーリーを創出するため、世界観の演出から化石展示へのメリハリの付け方、空間の見通しなどの効果的配置を考慮した。吊りもの(バナー類)を大胆に使ってコーナー感を出すことで、広い展示スペース内の位置把握をしやすいよう工夫し、大型恐竜標本との空間構成において分かりやすく華やかにコンパート、かつコラボする事が出来たと思う。
また、「巨大恐竜研究ラボ」では、探検隊風スタイルのスタッフが子供達の質問に楽しく答えたり、化石のクリーニング作業を実演したりした事で、インタラクティブなふれあいや感触を得る事が出来た。これは新たな試みの一つであったが大変好評を博し、効果的集客の一翼を担ったかと思う。
大きな会場での、数多くの展示品、多様性のあるストーリー展開をスペース内に効果的に収める難しさ、限られた工期の中でのイベントの組み上げ、来場者の求める多様な要求へのソリューションなど課題は尽きないが、「行ってみた。楽しかった。」の創出が私達のモチベーション。今後も来場者の笑顔を思い浮かべて「邁進、邁進」である。
【現場管理からの一言】
恐竜展は今や夏の風物詩の1つ。老若男女問わず大勢の人達が訪れる。
会場内の演出展示として吊物、柵、展示台、照明台などその時代の雰囲気に合わせ、臨場感を感じられる作りになっている。やはり我々が最も注意しなければならないのはお客様の安全面である。柵一つにしても角をすべて丸くしたりと細かい所にも気を配る。また出展物は貴重なものが多い。いかに触れさせず安全に見やすい展示ができるかが勝負。図面上では気づきにくかった所など現場で試行錯誤を繰り返し、調整を行う。施工期間が限られる中で事前の段取りは必要不可欠。また、現場では突発的なことも多々あるので柔軟な対応も求められる。
いかに円滑に施工を進められるか、お客様の目線に立って展示ができているか、安全面なども注意しながら空間づくりを心がけている。