加速器とは、とても小さな粒子を人工的に加速し、さまざまな研究や分析を行う実験装置です。
本展では、巨大な加速器の実験施設の様子や、歴史を取り上げながら、加速器の最先端研究から身近なところで利用されている研究成果まで、わかりやすく紹介しました。
弊社では、展示企画・設計・施工をお手伝いさせて頂きました。
今回の企画展では、特に若い世代の方や初めて加速器に触れる方に向けて、明るくキャッチーなイメージを心掛けました。なんだか難しそう、と敬遠することなく、気軽に展示室に入ってほしいという願いを込めています。とてつもなく大きな実験施設と、そこで行われている目には見えないほど小さな実験のスケール感を、展示室で感じていただけるようデザインしています。
大きなグラフィックを中央ホールに掲げ、加速器のダイナミックさを表現しました。
キービジュアルは、ポップなカラーリングで親しみやすさを生みつつ、加速器の迫力を伝えるデザインとしています。
最初に来場者を迎えるのは、アイキャッチ動画「#加速してみた」。身近にある色んなものを「加速してみる」様子から始まります。はたまた、今度は巨大な研究施設で何かを加速しているが、それは一体何?…という導入で展示室へ導きます。動画投稿サイトのようなキャッチーさで、来場者に興味・親しみを持っていただけるように制作しました。
会場は明るくポップなデザインです。企画展示室は、大きなアーチで章ごとに区切られています。実は、会場を上から見るとアーチがX状に配置されており、場内を加速器の巨大な円環に見立てています。まさに来場者が加速器を巡るイメージです。
また、説明パネルは、スマートフォンのメッセージアプリのような、わかりやすいデザインを目指しました。
2章「巨大実験施設へようこそ」のアーチをくぐると、加速器の研究者たちの等身大パネルがお出迎え。意匠の変化を加えることで雰囲気を変えました。壁面には大型加速器施設の写真を大きく配置するなど、その場に来たような臨場感を演出しています。
加速器の研究には非常に多くの人が関わっています。それを象徴するように、ある論文では13ページにも渡って著者名が連なっています。この点を視覚的に体感できるよう、展示方法を工夫しました。
常設展示室にも、第二会場として、企画展と連動した展示資料・パネルを追加しました。
*この展覧会は、2021(令和3)年7月13日(火)~10月3日(日)まで国立科学博物館において開催されました。