働き方改革の一環として、多くの企業が働く場所や環境の改善に取り組んでいます。
テレワークやハイブリッドワーク、フリーアドレス、グループアドレスといった働き方改革を実行する一方で、社員に浸透せずうまく運用できていないという企業も少なくありません。
このような問題はオフィス運用の視点とルールづくりによって、よりスムーズに働き方改革を推進できます。こちらのコラムではハイブリッドワークに適したオフィスルールづくりのポイントを、当社の取り組みを交えてご紹介します。
目次
ハイブリッドワークとは従来のように会社に出社して仕事をするオフィスワークと、自宅をはじめとしたオフィス以外の場所で仕事をするテレワークとを併用した働き方を指します。
働き方や就業形態が多様化している昨今では、働く場所を自由に選択できるハイブリッドワークは働き方改革の一環として導入する企業が多く、一般的な働き方として認識されています。
働き方改革の視点で注目されているハイブリッドワークですが、メリットとデメリットどちらもあります。
業務内容や目的に合わせてオフィスワークとテレワークの使い分けができるため、生産性の向上につながります。また通勤時間の削減、オフィス活用の効率化によって多様化する働き方のニーズに対応し、優秀な人材の採用にも効果があると言えます。
リモートワークの割合が増えるとコミュニケーション不足になりやすいことから、生産性低下を懸念する企業が少なくありません。同様に会話の機会が減少することから、勤怠管理、健康管理、評価制度などが、従来の運用では難しくなる場合があります。
働き方改革推進のためには、物理的な環境、システム環境、社員の心持ちなど、様々な視点を持つ必要があります。とくにオフィス改革やハイブリッドワークの導入には、従業員それぞれが自分たちがどのような働き方を求め、働く場所をどのように捉えているのか、社員同士の意見交換の機会を設けてもいいかもしれません。
一方で経営層の立場では、たとえば社員がどこでも仕事ができる環境や制度を整えること、心身ともに健康に業務ができること等を目指していくことで、働き方改革をより一層進められるでしょう。
オフィス改革や働き方改革を行う一方、効率的にオフィスを運用していくためにはルールづくりが欠かせません。オフィスが変化しても働き方が従来のままでは、本来の目的からずれてしまうためです。
またオフィスの運用マニュアルが社員に浸透しなければ、せっかくの働き方改革の取り組みも効果がありません。社員が自ら働き方を選択しオフィスに必要なルールを作ることが、働き方改革をはじめ、ハイブリッドワークの普及に繋がるでしょう。
弊社はコロナ禍以前よりテレワークを導入していましたが、なかなか社員に浸透しない状況にありました。しかしコロナ禍を機にオフィスの縮小移転を行い、ハイブリッドワークとともにフリーアドレスを導入しました。
社員50人程度の中小企業である私たちが取り組んだ働き方改革を、オフィス運用とルールづくりの視点でご紹介します。ハイブリッドワークだけでなく、フリーアドレス導入に向けて参考にしていただけたら幸いです。
私たちのオフィス縮小移転は、社員が集まり「オフィスはどうあるべきなのか」について話し合いを重ねることから始まりました。
これまでの仕事を振り返りながら話し合いを進めていくと、オフィスは単に仕事をしに行く場所ではなく、「共創のための基地(コワーキング・ベース)」であるという考えにまとまりました。
こうしたコンセプトをもとにオフィスの設計、ルールづくりなどが進み、私たちの働き方改革へ取り組む心持ちも変化していったように感じています。
限られたスペースの中で感染防止対策を考慮しながらオフィスを運用するために、社員一人一人に出社人数やスペースの利用状況を考慮する視点が必要です。こうした意識付けは、社員共有のカレンダーやグループウェアの導入によって、より効率的に取り組むことができます。
電話や来客応対、郵便物の受け取り、そのほかのオフィス環境をきれいに保つため、本社オフィスを利用する社員の中で輪番出社制のルールを設けました。
毎日の出社人数を可視化して本社オフィスを利用する一人一人が密を避け、同時にパーソナルペースを適切に確保するための判断ができます。
またデスクやパーティションが可動式であるフリーレイアウトの弊社は、会議スペースや作業スペースも柔軟な使い方が可能です。座席の予約と同様にスペースの予約ルールを設け、目的に合わせた作業効率UPを目指しています。
ハイブリッドワークの就業形態は、業務効率向上を目的にオフィスワークかテレワークか自由に選べることが特徴です。働く場所を自由に選択できる環境では私物の収納や、共有備品の置き場所などもルールづくりが必要になります。
フリーアドレスは固定席がないため、私物や社内備品の収納ルールを設けました。個人ロッカーは鍵付きのポスト型にし、プライバシーとセキュリティ面に配慮しています。
資料のデジタル化によってコピー用紙の使用量が低減しコスト削減。さらにクラウド上でいつでも資料が見られることから、会議資料の印刷、配布といった業務をなくすことに繋がりました。
出社時の業務効率向上のため、作業やオンライン会議に集中できる設備を設けました。可動式の遮音パーティションや、卓上の吸音ブースは、オフィスの備品として自由に利用できます。
ペーパーレス化、オンライン会議といった生産性向上を目指すにあたり、複数人の会議やハイブリッドな会議にも対応できるデジタルホワイトボードを設置しました。複数人で資料を確認する会議やハイブリッド会議で大変活躍します。
ハイブリッドワークやテレワークのように働く場所を自由に選択できる働き方では、オフィスに居なくても出勤できる、オフィスと同じように仕事ができる環境を整える必要があります。
デザリング機能を備えた社用のスマートフォンを支給したことで、自宅またはオフィス以外の外出先でも場所や時間にとらわれず仕事が可能になりました。
裁量労働制と変形労働時間制を導入し、より自由な働き方を可能にしました。またオンラインの打刻システムによって労働時間を可視化できる状態を作っています。
経理業務の効率化を目的に改善し、場所を選ばずに申請や処理が可能になりました。
どこでもVPN接続ができる環境をつくり、テレワークでも社内サーバへのアクセスが容易になりました。その他チャットでの気軽な情報共有や、在席管理、オンライン会議といったコミュニケーションの環境も整えています。
テレワークやハイブリッドワークを導入した後、特に気になるのはコミュニケーション不足による生産性の低下ではないでしょうか。不足したコミュニケーションの機会を補うために、あえて他部署の人との会話の機会を作ってみましょう。生産性向上のためにはイノベーションが生まれる環境や会社の風土を考えることも重要です。
チームまたは個人で、社内のコミュニケーション企画を作っています。マイブームの意見交換や簡単なゲームなどリモートでも気軽に参加できるため、気分転換やチームワーク向上の一助になっていると感じます。
顔を合わせる機会が減ったからこそ、情報共有を意識的に行う必要があると私たちは考えています。
他のスタッフに周知したいこと、リサーチの内容、現場やオフィスの様子など、積極的な情報交換でオンライン上のコミュニケーションが活発になります。またオフィスで久しぶりに顔を合わせたときも、日頃どんな活動をしているかわかるため、話のきっかけになりやすいです。
ハイブリッドワークやフリーアドレスの導入に伴い、社員それぞれのオフィスの使い方も自然に変化してくると思います。計画通りに改善できることもあれば、反対に使いづらさを感じることもあるでしょう。
その際に生じた違和感をそのままにせず、どのようにしたら働きやすくなるか、より効率的な業務進行のためにはどうしたらいいかなど、社員が自らルールを考え改善に取り組む心持ちが、働き方改革推進のポイントです。
また、規模が小さい企業ではリソースが限られている場合が多いため、物理的なオフィス改革やシステムの改善に取り組めない状況もあるかと思います。
現在生じている問題を洗い出す、またはより効率的な働き方を社員同士で議論するなど、生産性を向上させるために改善するべき優先順位を決め、働き方改革に取り組んでいきましょう。
ハイブリッドワークを促進する「あらゆる変化に対応できるオフィス」として、弊社のオフィスを実空間のショールームと共に、バーチャルショールームとしても公開しております。
社員自らルールを作り、日々改善にも取り組んでいる私たちのオフィスをぜひご覧ください。
ハイブリッドワークはメリットが多い一方、ただ導入しただけでは生産性の低下を招くおそれもあります。そこでオフィスを運用の視点を持ったルールづくりや取り組みによって、デメリットを補うことが可能です。
また働き方改革の一環としてハイブリッドワークを導入するのであれば、オフィス改革の視点を持つことも重要です。働く場所の変化により社員の意識改革も進み、より良い働き方を考える姿勢が浸透するでしょう。
私たちがご提案している働き方改革を推進するオフィスづくりのサービス「コワーキング・ベース」では、働き方改革とともに考えたいオフィス改革についてのご相談も承っております。
サービスの概要は以下で公開しておりますのでぜひご参考ください。