飲食店の店舗デザイン設計において、大切なことは何でしょうか?
例えば、これまで弊社のコラムでは考慮するポイントとして、居心地や体験性向上などを紹介してきました。
店舗によって求めるものが異なりますが、私たちがお客様と一緒に考える際に大切にしているのは、コンセプトの設定と、それを伝えるためのストーリーテリングの方向性です。
今回のコラムでは、弊社 中央宣伝企画のベテランデザイナーにインタビュー。
飲食店のストーリーテリングについて過去案件をもとにご紹介します。
まずはお客様からどのようなご依頼を頂いたのか聞いてみました。
飲料メーカーのお客様から、シャンパンをメインで取り扱う期間限定の飲食系ポップアップショップのデザイン依頼のお話を頂き、デザイナーとして担当させていただきました。
お客様より2案提出のご要望があり、2つのテーマのうち一つは「高級感」、もう一つは「未来感」と指定いただきました。
未来感に関してはタブレットでの注文方法に注目し、データ収集ができる注文システムのご要望もいただきました。
ポップアップショップは期間限定の出店であることが前提なので、通常営業の一般的な飲食店に比べて、提供する商品とともに店舗のコンセプトが特に明確に定められています。
そのためデザイン案も、それぞれのコンセプトや内装設計をしっかり設定して落とし込むように意識しました。
デザイナーは頂いた要件、要望をもとにイメージを膨らませて、必要な機能や空間を決定していきます。次は、どのようにデザイン案を作っていったのかを聞いてみました。
お客様からご指定いただいた「高級感」のキーワードをもとに加えて、「特別感」「清潔感」といったイメージを関連付けでデザインに落とし込みました。
シャンパンを飲むのは”ハレ”のシーンであり、例えば何か良いことがあったとき、日常を離れた瞬間、またはそれに関連した特別な空間であると想像します。
そうしたときにシャンパンまたはシャンパンの炭酸感を好む人は、その場の特別感や居心地の良さやをも重視するのではないかと考えました。
シャンパンやワインなどのお酒は、「うんちく」も一緒に楽しむものだと考えています。そのためシャンパンやワインについて知識がありお客様と語ることができるソムリエも、シャンパンラウンジの運営には必要な存在であると思います。
テーマの指定に関連してタブレット注文のご要望を頂いていました。今では一般的になりましたがご相談いただいた当時は比較的新しい注文方法でしたので、未来感、先進的といったイメージを持ちました。
またタブレットで注文する新しさ、データ集計という要素から「研究所」のイメージを広げ、
多くの実験室などは清潔・整頓に留意していると思います。そこで清潔感を表現するために、綺麗さを保ちやすいことと、白く光っている様子をイメージました。
ここまで、デザイン設計のプロセスや考え方を見てきました。改めて最後にデザインする上でのポイントを聞いてみました。
飲食店の企画は、飲食物の味や珍しさなど商品力、また接客などのアテンド力、さらにコンセプトをどのように表現するかなど、様々な要素が絡み合います。
私たちはデザイナーとして店舗の立ち上げに関わりますので、綺麗さや美しさはもちろん大切にしています。しかし、それだけでは話題性に欠けてしまいます。
そこでコンセプトを表現する「ストーリーテリング」の手法が必要になってきます。またその店舗を利用するエンドユーザーの居心地の良さを常に意識しています。
今回は飲食系ポップアップショップの事例をご紹介しましたが、通常営業の飲食店でもコンセプトの設定や、ストーリーテリングの考え方の軸となる部分は同じです。
私たちはお客様が持つコンセプトや価値観を聞き、すり合わせながら、図面を用いてイメージを共有させていただきます。
商品や店舗のコンセプトをもっと伝えたい、空間を含めたブランディングをしっかり計画したいなどお考えの方は、ぜひ弊社へご相談下さい。