店舗内装

【事例紹介】4階建ての飲食店|アイディアを空間演出に落とし込むには

2024.06.21

飲食店の設計には、店舗のコンセプトや内装デザインのテイストなど、様々な要素が関係します。加えて、私たちは来店したお客様の体験価値を向上させるストーリーテリングを大切にしています。

こうしたコンセプトやストーリーテリングをつくるためには、たくさんのアイディアをもとに方向性を固めていく必要があります。今回は中央宣伝企画のベテランデザイナーに過去の案件のお話を聞きながら、飲食店の設計にむけたアイディアの落とし込み方を見ていきましょう。

はじめに|お客様からのデザインリクエスト

まずはお客様からどのようなご依頼を頂いたのか聞いてみました。

Q:お客様からどのようなリクエストがありましたか?

このときは4階建ての建物を飲食店に改装したいというご相談でした。
内装デザインにおいては「変な空間を作りたい」というご要望が印象的でした。

Q:内装全体のデザイン設計する際にポイントとなる前提条件はありましたか?

  • 4階建ての全フロアを飲食店にしたい
  • 1階の正面はガラス張りで外からお店の中が見える特徴
  • 建物はほぼ真四角で外観や間取りに大きな特徴はない
このような条件をもとに、アイディアを出していくことになりました。
道を通る人に「立ち寄ってみたい」「面白そうな店だ」と興味を引き付けるために、1階正面ガラス張りを活かしてインパクトを出していく必要がありました。またシンプルな建物であるからこそ、演出に力を入れていく方向性に決めていきました。


飲食店デザインのアイディア

デザイン設計|たくさんのアイディアからコンセプトを具現化する

次は、デザインチームの中でアイディアを出し合い、お客様の要望と重ね合わせてどのような空間をつくるか決めていきます。
どのようなアイディアから演出やデザインに落とし込んでいったのか聞いてみました。

Q:それぞれのフロアはどのような活用方法を考えましたか?

まず各階ごとに利用シーンのイメージと、席の使い方をはっきりと分けて考えました。

  • 4階:すべての厨房機能を持たせる
  • 3階:立食パーティの活用を想定した自由にレイアウトできるホール
  • 2階:半個室をたくさん用意し、ゆっくり会話が楽しめるスタイル
  • 1階:カウンター席とテーブル席でビュッフェスタイルも可能なレイアウト
提案時、お客様には空間活用の様々な可能性を感じてもらいため、あえてフロアによって様々な利用シーン、使い方をご紹介しました。
例えば2階は障子、畳、小上がりで和風の半個室の空間を想定しつつ、障子戸の取り外しができるデザインにしたところがポイントです。少人数向けの空間を基本のスタイルにする一方で、障子戸のレイアウトを変えれば人数に合わせて面積を変えることができます。営業時の柔軟な使い方を想定したアイディアも大切にしました。

Q:演出についてどのようなアイディアが出ましたか?

お客様からの「変な空間を作りたい」というリクエストをかなえるためにどんな演出を施すかデザインチームで議論を行いました。様々な角度から考えを膨らませたり、イメージを共有したりして可能性を広げていく作業になります。

今回、建物の1階正面はガラス張りで外から内装がよく見えるため、ファサードでインパクトを出すことによる話題性や集客効果が期待できます。このような特徴を活かすために、床に夜空のデザイン、天井に地面があるような内装で、「天地をひっくり返した内装デザインはどうか」とアイディアが出ました。
それから表現の手法や素材感などの議論を重ね、今でいう「映え」の要素となるような、写真を撮りたくなる空間演出を加えた空間をご提案しました。


飲食店デザインのアイディア

Q:この段階で内装デザインのイメージだけでなく表現方法の議論も進めるのですね

イメージ画像に仕上げていく際に、こうした演出手法も決めています。お客様にもイメージを膨らませてほしいので、提案時の会話中に演出の具体例をお伝えします。
例えば1階のデザインでは、モルタルを使った擬岩や擬木をはじめ、様々な可能性を検討しました。

空間デザインの領域は、図面だけは分からないところが特徴であると私は考えています。図面やイメージ画像で見ていたものが実際の空間になったときに、その空間に立ってみると印象が異なることもあるのです。さらにその見え方や感じ方は、背の高さなど個々人の差でも変わってきます。
空間によって、面積や高さ、見せたいものの距離感など様々な条件がありますから、それらのレギュレーションを踏まえた上で、そしてその空間を利用する人のことも想像しながらデザインをすることを心がけています。


飲食店デザインのアイディア

最後に|これからの飲食店デザイン設計で注目していること

社会のトレンドも変わってきているなか、現在の状況で飲食店の内装デザインをする場合に取り入れてみたい要素について聞いてみました。

Q:いま改めて同様の案件を担当するとしたら、どんな要素を入れたいですか?

いろいろなアイディアがあると思いますが、新しい素材を取り入れてみたいです。今は環境に良い素材や、SDGsに注目した素材も増えているので、社会のトレンドとして求められている視点であると考えています。
他には、空間や什器を様々な形に変えられるフレキシブルな内装もよいですね。
昨今はデジタルな表現方法が一般的になっているので、例えば真っ白な造作にプロジェクションマッピングで映像を投影するなどの手法も、驚きと面白さがあると思います。
ユーザーのニーズはどんどん変化していくので、それに対応できる自由空間を作る考え方が大事になってくると思います。

またこうした様々なアイディアを形にするときにも大切にしたいのは、空間演出の要素がどのような体験を生み出すのかその体験によってどのような感情を引き出すかなどの視点です。その空間を利用する人に伝えたい思いやコンセプトをもとにどのような価値体験を向上させるか、イメージの具現化を私たちがお手伝いできたらと思います。

まとめ|飲食店の空間演出はお任せください

飲食店の内装デザインにおいて、コンセプト作りやストーリーテリングの設計が大切ですが、それと共にターゲット設定や表現手法も合わせて考えていく必要があります。
検討事項を全て解決することは難しいですが、様々な空間演出のアイディアや内装デザインによって、実現に近づけていくことが可能です。

私たちはお客様が持つコンセプトや価値観をもとに、デザインの可能性をご提案いたします。
商品や店舗のコンセプトをもっと伝えたい、空間演出によるブランディングをしっかり計画したいとお考えの方は、ぜひ弊社へご相談下さい。

小山 琢

小山 琢

中央宣伝企画株式会社