飲食店の設計には、店舗のコンセプトや内装デザインのテイストなど、様々な要素が関係します。加えて、私たちは来店したお客様の体験価値を向上させるストーリーテリングを大切にしています。
こうしたコンセプトやストーリーテリングをつくるためには、たくさんのアイディアをもとに方向性を固めていく必要があります。今回は中央宣伝企画のベテランデザイナーに過去の案件のお話を聞きながら、飲食店の設計にむけたアイディアの落とし込み方を見ていきましょう。
目次
まずはお客様からどのようなご依頼を頂いたのか聞いてみました。
このときは4階建ての建物を飲食店に改装したいというご相談でした。
内装デザインにおいては「変な空間を作りたい」というご要望が印象的でした。
次は、デザインチームの中でアイディアを出し合い、お客様の要望と重ね合わせてどのような空間をつくるか決めていきます。
どのようなアイディアから演出やデザインに落とし込んでいったのか聞いてみました。
まず各階ごとに利用シーンのイメージと、席の使い方をはっきりと分けて考えました。
お客様からの「変な空間を作りたい」というリクエストをかなえるためにどんな演出を施すかデザインチームで議論を行いました。様々な角度から考えを膨らませたり、イメージを共有したりして可能性を広げていく作業になります。
今回、建物の1階正面はガラス張りで外から内装がよく見えるため、ファサードでインパクトを出すことによる話題性や集客効果が期待できます。このような特徴を活かすために、床に夜空のデザイン、天井に地面があるような内装で、「天地をひっくり返した内装デザインはどうか」とアイディアが出ました。
それから表現の手法や素材感などの議論を重ね、今でいう「映え」の要素となるような、写真を撮りたくなる空間演出を加えた空間をご提案しました。
イメージ画像に仕上げていく際に、こうした演出手法も決めています。お客様にもイメージを膨らませてほしいので、提案時の会話中に演出の具体例をお伝えします。
例えば1階のデザインでは、モルタルを使った擬岩や擬木をはじめ、様々な可能性を検討しました。
空間デザインの領域は、図面だけは分からないところが特徴であると私は考えています。図面やイメージ画像で見ていたものが実際の空間になったときに、その空間に立ってみると印象が異なることもあるのです。さらにその見え方や感じ方は、背の高さなど個々人の差でも変わってきます。
空間によって、面積や高さ、見せたいものの距離感など様々な条件がありますから、それらのレギュレーションを踏まえた上で、そしてその空間を利用する人のことも想像しながらデザインをすることを心がけています。
社会のトレンドも変わってきているなか、現在の状況で飲食店の内装デザインをする場合に取り入れてみたい要素について聞いてみました。
いろいろなアイディアがあると思いますが、新しい素材を取り入れてみたいです。今は環境に良い素材や、SDGsに注目した素材も増えているので、社会のトレンドとして求められている視点であると考えています。
他には、空間や什器を様々な形に変えられるフレキシブルな内装もよいですね。
昨今はデジタルな表現方法が一般的になっているので、例えば真っ白な造作にプロジェクションマッピングで映像を投影するなどの手法も、驚きと面白さがあると思います。
ユーザーのニーズはどんどん変化していくので、それに対応できる自由空間を作る考え方が大事になってくると思います。
またこうした様々なアイディアを形にするときにも大切にしたいのは、空間演出の要素がどのような体験を生み出すのか、その体験によってどのような感情を引き出すかなどの視点です。その空間を利用する人に伝えたい思いやコンセプトをもとにどのような価値体験を向上させるか、イメージの具現化を私たちがお手伝いできたらと思います。
飲食店の内装デザインにおいて、コンセプト作りやストーリーテリングの設計が大切ですが、それと共にターゲット設定や表現手法も合わせて考えていく必要があります。
検討事項を全て解決することは難しいですが、様々な空間演出のアイディアや内装デザインによって、実現に近づけていくことが可能です。
私たちはお客様が持つコンセプトや価値観をもとに、デザインの可能性をご提案いたします。
商品や店舗のコンセプトをもっと伝えたい、空間演出によるブランディングをしっかり計画したいとお考えの方は、ぜひ弊社へご相談下さい。